【海外転勤者】どの証券口座を利用すべき?楽天証券?SBI証券?野村證券?

「将来のために長期運用目的で株式などの金融商品を保有したいけど、海外赴任時も日本の証券口座を維持できるのか?

そのような疑問を持ち、複数の証券口座の海外赴任時の手続きを読んでみると、多くの証券会社では、海外赴任の際はそもそも口座を閉鎖しないといけない」または「一定期間なら維持できるが、そのハードルが非常に高い」ということがわかります。

海外赴任時に証券口座を維持できないということは、その口座で日本で購入した金融商品を海外赴任時に売却しないといけないということですので、そうなると20年、30年、子どもの場合は60年など、長期の運用はできなくなってしまいます。

なんとかならないのかと思い、様々模索した結果、楽天証券、SBI証券といった人気証券口座の海外出国時の維持の難しさや制約、逆に、ハードルの低い証券口座があることもわかってきました。本記事では、エッセンスをまとめる形で、その際にわかったことをお伝えしたいと思います。後海外赴任が予定される方は、会社員も公務員も、参考にしていただければ幸いです。

結論としては、野村證券(ネット&コール)であれば、海外赴任者にとっても証券口座の維持(株式等の継続保有)のハードルが低く、今後海外赴任を予定する人が金融商品を長期運用する上で最良の選択肢の一つだろうと考えています。

本記事を読んでいただくと、以下のことを参考にしていただけると思います。

・証券口座を利用する上で、海外赴任をする人にはどのような制約があるのか?
・NISA口座は5年以内に帰国すれば維持できるのではなかったか?
・海外赴任時に継続利用できる証券口座はどこか?
・野村證券では、海外赴任者にはどのような制約があるのか?

(※注:本記事での「海外赴任」「海外転勤」とは、仕事の都合などで一定期間海外に在住し、また必ず国内に戻ってくる場合を指し、海外に永住または半永住的に長期在住する場合はその限りではありません。)

証券口座 海外赴任者にとっての制約例

本項では、筆者がいくつかの証券口座に照会した結果などを含め、海外赴任をする方に課される制約事項の例を挙げていきたいと思います。

1 無条件に口座を閉鎖しなければならない場合

そもそも、海外で在住することになったら証券口座を閉鎖しなければならない場合があります。

例えば、三菱UFJ国際投信に照会したところ、海外に赴任等で出国する場合、口座は閉鎖していただきます、という、たいへん単刀直入な答えでした。非居住者の定義などはないかも追加的に照会しましたが、海外での滞在予定年数などにかかわらず、口座は閉鎖していただきます、という、何とも清々しい答えでした。

同じ三菱UFJ系の三菱UFJモルガン・スタンレー証券も、海外赴任時の手続きについて、原則閉鎖・一定の手続きをすれば維持できる、としか書いておらず、それ以上の情報収集は行なっておりません。

https://faq.sc.mufg.jp/faq/show/424?category_id=91&site_domain=default

三菱UFJの銀行口座は海外でも維持できるので、同じ系列の証券口座であれば海外赴任者にも優しいのかと思いましたが、そういった単純なものではないようでした。

2 海外赴任年数により制約が異なる場合

海外赴任の年数に応じ、課される制約を変えている場合もあります。例えば、筆者が、「できれば海外赴任時・帰国後も継続利用したい!」と思っていた楽天証券では、「5年を超える、または期間の定めのないご出国の場合は総合口座の継続はできません。」(引用:楽天証券「海外出国のお手続き」)と、5年以上または期間不明の海外赴任の場合口座を継続できないと定めています

3 専門の代理人を選定することが必要な場合

税制等の専門家を代理人として選定することを海外出国後の口座維持の条件としている場合があり、楽天証券の最大のネックの一つはこの点でした。

同社の電話窓口に照会したところ、非常に丁寧に教えてくれて、ありがたいと思ったところですが、結論としては、会社員も在外公館等で勤務する公務員の場合も、海外出国(1年以上5年以下の滞在)後も口座を維持する場合、専門の常任代理人の選定が必要というのが同社のルールのようでした。

常任代理人を選定した場合、年間10万円近くの契約費が発生しうるので、細々と長期運用したい筆者にとってはとても高いハードルとなります。

(楽天証券HP上の記載:金融商品取引等に精通した日本国内の専門家(弁護士、司法書士、税理士、行政書士など)を常任代理人として選任(引用元同上))

4 保有銘柄の制約がある場合

これも楽天証券のケースを引用しますが、保有できる銘柄が限られるケースがあります。前述の同社HPには「日本株式、個人向け国債のみ保有いただけます。その他の商品は売却してください。」(引用元同上)と明記してあり、同証券の場合、投資信託などは出国時に売却する必要があると言えます。(なお、窓口で照会したところ、在外公館等に勤務する国家公務員の場合、かかる制限はないようです。)

5 NISA口座を閉鎖しなければならない場合

2019年の税制改正を受けて、海外赴任者などに配慮し5年以内の赴任であれば一定の条件を満たせばNISA口座の維持が可能となりました。(裏を返せば、5年を超える場合であれば、NISA口座の維持は不可であることが前提になります。)
(平成31年度税制改正の大綱の原文はこちらで、その「2 金融・証券税制」の項が該当箇所です。)

一方で、5年以内であっても、NISA口座は出国に伴い閉鎖する必要がある、という場合があります。例えばSBI証券の場合、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAのいずれの口座も、同行の定義する非居住者(例:1年以上にわたり日本以外に居住する者)に当たる場合、出国に際し閉鎖しなければならないとしてあります。

https://faq.sbisec.co.jp/answer/5ebe28f4d31ea500111ebcbe

なお、楽天証券の場合、『つみたてNISA口座での保有商品は、書面提出日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日までに帰国されない場合、その時点で一般口座に払出しされます。
【例】2019年5月30日提出された場合2024年12月末』とあり、海外赴任期間が丸5年の場合は原則大丈夫だと理解でき、年初めの赴任開始する方であれば6年弱でも大丈夫と言えるのですが、前述のとおりその他の制約が大きいのが現状です。

https://member.rakuten-sec.co.jp/web/support/procedures/non-resident/

証券口座 海外赴任時に維持できる口座は?

多くの証券口座で、必要な手続きや制約の下であれば、海外出国・帰国後も口座(一般口座へ移管する形で)の維持が可能と見られます。しかしながら、前述のとおり、「その必要な手続きや制約がどの程度のものか」が問題になります

筆者が複数の証券会社の公式HPを見て、海外出国時の取り扱いを詳細に掲載していたのは楽天証券と野村證券であったという印象があります。

楽天証券は1年以上の海外赴任であればハードルが高い印象

楽天証券は、現状筆者が日本国内でメインで利用しており、できれば長期で利用したいところでしたが、前述のとおり、今後の海外赴任時に継続利用することは困難だろうというのが結論でした。

主な理由は、①日本株、個人向け国債以外は売却する必要があること、②5年を超えるだけでなく、赴任期間の定めのない場合も口座維持の継続ができないとのこと、③専門家を代理人に立てる必要あるとのこと、です。

HP上の記載もわかりやすく、電話対応も丁寧でありありがたいですが、制限はなかなか厳しいものになっています。

野村證券はHP掲載情報だけでも海外赴任者フレンドリー

野村證券の海外出国時の手続きやその際の制約は、同社HPの「海外に出国されるお客様の口座に関するご案内」に基本的な情報がまとまって掲載されています。

後述しますが、野村證券の場合、前項で書いたような海外赴任者にとっての制約はないと言えます。

日本国内で特定口座を作り、海外赴任時に一般口座に移管した後、帰国時に特定口座に戻せる、というのも、SBI証券などには無いようなメリットといえます。

SBI証券は出国後は一般口座になることがハードルに

SBI証券は、HP情報をみる限りは、NISA口座を比較的すぐに閉鎖しなければならない点と、帰国後特定口座に移管し直すことができなそうである(一般口座になる)点が、若干のハードルになるかと思います。

SBI証券はそもそもの証券口座としてのサービスが良い点は魅力大ではあります。

そのほかの会社はどうか?

三菱UFJモルガン・スタンレー証券や松井証券、SMBC証券、マネックス証券なども、HP上、一定の手続きを取れば口座維持は可能と理解ができますが、詳しくは問い合わせるように、という形で、少なくとも筆者は、すぐには具体的な制約等の詳細にたどり着くことができませんでした。

もしかしたら野村證券に負けずとも劣らない条件の証券会社もあるのかもしれませんが、野村證券が手続きをわかりやすくHP上に公開している点もプラスに加味して、上記3社以外についてはそれ以上追求していません。(楽天証券とSBI証券は、日本国内でのサービスが優良であることから、可能性を追求しました。)

海外赴任時の手続きや制約は、各社が個別にルールを設けているのが現状なので、全ての会社の最新の運用方法を網羅的に把握しようと思えば、究極的には、全ての会社に照会していくしかないのではと思います。

証券会社のHPや、実体験を基にしているブログ等の記事を参考にしつつ、これぞというところには直接電話窓口に照会した上で、目的にあった証券口座を利用していくことが重要と思います。

野村證券(ネット&コール)の場合

野村證券の海外赴任者のための案内は、以下の同行HP上の「海外に転出されるお客様の口座に関するご案内」で確認することができます。

https://www.nomura.co.jp/support/procedure/contractchange/#moving_overseas

上記に挙げた海外赴任者にとっての証券口座維持にかかる制約例について、野村證券の場合どうか、以下みていきましょう。

なお、筆者は同案内を確認した上で、追加的に確認したいことを電話窓口にて照会しました。実際に出国時と帰国時の同口座の維持・利用は未経験なので、その点ご了承いただければ幸いです。

1 海外転勤をする場合口座を閉鎖しなければならないか?

出国前および帰国時に一定の手続きを行うことで、口座の維持が可能です。海外在住中は一般口座へ払い出す必要がありますが、帰国時に特別口座に再度移管することができるとのことです。

2 海外赴任年数による制約

利益に対して課税がされる口座(一般口座または特定口座)に関しては、海外赴任年数による制約はない模様です。したがって、例えば、5年以上の滞在になったら口座を閉鎖しなければならないといった制約はないようです。これなら、出国時に海外赴任の具体的な予定期間がわからない場合でも問題がなさそうです。

3 専門の代理人の選定は必要か?

同行の電話窓口に照会したところ、店舗型の支店で口座を作る場合は、専門の代理人の選定をお奨めすることになるが、オンラインで口座開設する野村證券「ネット&コール」であれば、そういったこともなくなる、ということでした(郵送物を受け取れる家族等がいれば問題ないとのこと。)。

4 保有銘柄の制約はあるか?

これも特にないとのことです。

なお、筆者が最低限行いたいと思っているのは長期に塩漬ける形の金融商品の運用であるので、海外在住期間中に売買を行うことはそこまで重視しておらず、従ってその点は詳しく調べることができていません。海外在住期間中は一般口座での保有になることをはじめ、売買における制約や手間はあるものと言えます。

5 NISA口座の維持はできるか?

5年以内の海外赴任であればNISA口座の維持が可能とのことです。

海外赴任の期間が5年以内であることを示す書類の提出の要否も、電話窓口で照会したところ、事前にそのような書類を提出する必要は特に不要とのこと。海外赴任者の中には、赴任予定期間を明示されないまま出国する人も多いと思われ、そのような方でも、結果的に5年以内に帰国をすれば、NISA口座(一般およびつみたて)も維持可能となるようです。

長期塩漬け型の運用であればほぼ問題となる点はなし?

結論的には、長期の塩漬け型の運用を考えている筆者のような人にとっては、問題となる制約がほとんどないことがわかりました。

あとは、野村證券で購入できる商品や手数料などを考慮し、他の証券口座とどのようにミックスして利用していくかがポイントになりそうです。これは実際に野村證券のネットサービスを利用してみて、別途検討してみたいと思います。

ちなみに、野村證券の場合、在外公館や領事館で勤務する国家公務員は日本の「居住者」とみなすようで、NISA口座の5年の縛りすらなくなるとのことで、これはその種の公務員の方には朗報です。なお、日本の「居住者」と見なされるのは国家公務員本人のみで、その家族は民間人と同じ扱いになるとのことです。この点は、国家公務員かみなし公務員かなどでも適用されるルールが異なりそうなので、具体的なことは直接電話窓口に照会することが重要だと思います。

野村證券(ネット&コール)の口座開設のためのページは以下になりますので、ご参考まで掲載いたします。

https://www.nomura.co.jp/apply/flow_kantan.html

まとめ

本記事では、楽天証券、SBI証券、野村證券(ネット&コール)を中心に、海外赴任時・帰国後に口座を維持する上でその証券会社が良いのか、筆者が模索した一旦の結果を紹介いたしました。

検討が網羅的でないことや、長期塩漬け型の運用目的であること、野村證券での実際の出国にかかる手続きは未経験であることなどを考慮いただいた上で、必要なところのみ、参考にしていただければ幸いです。

筆者は、野村證券であれば、今後海外転勤があっても口座が維持できるだろうと思って、とりあえず一安心しました。。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

投稿者: gongonchi

スペイン語圏の国々を転々とする海外転勤ファミリーのごんごんちです。 子育て中の方、転勤族の方、駐在の方に向けて、子育て・スペイン語圏の生活情報・転勤族妻の働き方など、お役に立てる情報を共有したいと思いブログを始めました。 元マスコミ勤務→ パートナーの海外転勤→ フリーランスの映像制作として開業 ノマドと子育てを両立する働き方を目指しています! 初めての海外生活にあたふたしながらも、家族一緒に楽しく暮らしていくため、日々模索中です。 現在:日本帰国中

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